「頭が良い人」って聞くと、どんな人を思い浮かべますか? 「テストでいつも満点の人」「難しい言葉をたくさん知っている人」…そんなイメージかもしれませんね。
でも、本当に大切な「頭の良さ」は、それだけじゃないんです。
スポーツで、ただがむしゃらにボールを蹴るより、上手な選手のフォームを真似した方が早く上達しますよね。料理も、自己流でやるより、基本のレシピを知っている方が美味しく作れます。
実は、「考える」ことにも、上達するための「フォーム」や「レシピ」があります。
今回は、そんな「思考のレシピ」とも言える、明日からすぐに試せる5つのコツを紹介します。このコツを身につければ、勉強がもっと面白くなったり、友達との会話がスムーズになったり、部活での問題解決に役立ったりと、きっとあなたの毎日が変わるはずです!
まずは思考の土台をつくり、次に応用していく流れで見ていきましょう。
- 1 【思考の土台づくり編】まずはここから!
- 2 コツ1:「本当にそうかな?」と自分にツッコミを入れてみる
- 3 会話で使ってみよう!(進路相談にて)
- 4 コツ2:「なんでだろう?」と考えてみる
- 5 会話で使ってみよう!(部活のミーティングにて)
- 6 【問題解決&アイデア編】実践で使ってみよう!
- 7 コツ3:物事をバラバラに分解してみる
- 8 会話で使ってみよう!(テスト勉強の計画にて)
- 9 コツ4:一歩引いて全体を眺めてみる
- 10 会話で使ってみよう!(友人とのケンカの後で)
- 11 コツ5:「もしも…」で発想を広げてみる
- 12 会話で使ってみよう!(文化祭の企画会議にて)
- 13 まとめ:今日からできる!「頭の使い方」上達チェックリスト
【思考の土台づくり編】まずはここから!
物事を深く考え、理解するための基本となる2つのコツです。
コツ1:「本当にそうかな?」と自分にツッコミを入れてみる
ありがちな失敗…
- 友達が「あの映画、超つまんなかったよ」と言ったのを聞いて、観る前から「つまらない映画なんだ」と思い込んでしまう。
- 先生に「君にはこの大学が合ってる」と言われ、深く考えずに「そうなんだ」と鵜呑みにしてしまう。
これは、自分の考えや聞いた情報を一度、客観的に見つめ直すトレーニングです。私たちは無意識に「〜べきだ」「普通はこうだ」という思い込みに縛られがち。そこに「本当に?」と疑問を投げかけることで、もっと視野が広がり、物事の本質が見えてきます。
会話で使ってみよう!(進路相談にて)
NG例 👎
- 先生:「君の成績ならA大学が安泰だよ」
- あなた:「はい、じゃあA大学を第一志望にします」
- (→先生の意見をそのまま受け入れてしまっている)
OK例 👍
- 先生:「君の成績ならA大学が安泰だよ」
- あなた:「ありがとうございます。A大学も選択肢の一つとして考えます。ただ、本当に自分が学びたいことがそこにあるか、一度立ち止まって調べてみたいです。先生は、私の『〇〇を学びたい』という希望だと、どの学部が合っていると思いますか?」
コツ2:「なんでだろう?」と考えてみる
ありがちな失敗…
- 歴史の年号や英単語を、ただの文字列として丸暗記しようとして、すぐ忘れてしまう。
- 「なんでこのルールなんだろう?」と考えずに、校則だからとただ従っている。
物事には必ず理由や背景があります。「なんで?」を繰り返すことで、表面的な情報だけでなく、その奥にある繋がりや仕組みが見えてきます。これは、ただの暗記を「理解」に変える魔法の質問です。
会話で使ってみよう!(部活のミーティングにて)
NG例 👎
- 先輩:「練習メニュー、明日からこれに変えるから」
- あなた:「(またきつい練習か…)はい、わかりました…」
- (→理由を聞かずに、ただ受け身になっている)
OK例 👍
- 先輩:「練習メニュー、明日からこれに変えるから」
- あなた:「はい!ちなみに、なんでこのメニューに変えることになったんですか? 前回の試合のどんな課題を克服するためのものか知っておくと、もっと意識して取り組めると思うので!」
【問題解決&アイデア編】実践で使ってみよう!
土台ができたら、次は具体的な課題やアイデア出しに使える3つのコツです。
コツ3:物事をバラバラに分解してみる
ありがちな失敗…
- 「期末テストの勉強、何から手をつけていいか分からない…」とパニックになる。
- 「部活の雰囲気が悪い」という漠然とした悩みを抱えて、どうすることもできない。
大きな問題や複雑なことは、そのまま考えると圧倒されてしまいますよね。そんな時は、問題を細かく「分解」してみましょう。やるべきことが具体的になり、一つ一つクリアしていくことができます。
会話で使ってみよう!(テスト勉強の計画にて)
NG例 👎
- 友達:「テスト勉強やばい!全然終わらない!」
- あなた:「わかる!もう無理かも…」
- (→漠然とした不安を共有するだけで終わってしまう)
OK例 👍
- 友達:「テスト勉強やばい!全然終わらない!」
- あなた:「わかる。でも焦っても仕方ないから、一回やるべきことを全部書き出して分解してみない? 数学は『問題集のP.30-50』、英語は『単語100個と教科書の本文和訳』みたいに。そしたら、どれにどれくらい時間がかかるか計画立てやすくなるよ」
コツ4:一歩引いて全体を眺めてみる
ありがちな失敗…
- 友達とケンカして、その時の相手の言葉だけにとらわれて「もう絶交だ!」と感情的になってしまう。
- 目先のテストで良い点を取ることばかりに夢中になり、長期的な受験戦略を立てられない。
これはまさに「木を見て森を見ず」の状態。目の前のことだけに集中すると、もっと大事なことを見失いがちです。一歩引いて、全体像や長期的な視点を持つことで、より良い判断ができるようになります。
会話で使ってみよう!(友人とのケンカの後で)
NG例 👎
- あなた:「昨日あんなこと言うなんてひどい!もう話したくない!」
- (→感情的になり、目の前の出来事しか見えていない)
OK例 👍
- あなた:「昨日の言葉はすごく悲しかった。でも、一晩考えてみたんだけど、そもそもなんであんな言い合いになっちゃったんだろう? 最近お互い忙しくてイライラしてたのかも。一度、冷静に話さない?」
コツ5:「もしも…」で発想を広げてみる
ありがちな失敗…
- 文化祭の出し物を決める時、「去年と同じでいいか…」と新しいアイデアを出すのを諦めてしまう。
- 数学の問題が解けない時、一つの解き方に固執してしまい、他のアプローチを試せない。
これは、常識や既存の枠組みから飛び出して、新しい可能性を探るトレーニングです。「もし、予算が無限にあったら?」「もし、自分が先生だったら?」のように、現実離れした仮定をすることで、凝り固まった頭がほぐれ、面白いアイデアが生まれます。
会話で使ってみよう!(文化祭の企画会議にて)
NG例 👎
- A君:「うちのクラス、何やる?去年と同じお化け屋敷でいっか」
- あなた:「そうだね、楽だし…」
- (→前例や常識にとらわれてしまっている)
OK例 👍
- A君:「うちのクラス、何やる?去年と同じお化け屋敷でいっか」
- あなた:「お化け屋敷もいいけど、せっかくだから新しいこと考えない? もし、うちらがテレビ番組のプロデューサーだったら、どんな企画にする? 参加型クイズ番組とか、脱出ゲームとかも面白そうじゃない?」
まとめ:今日からできる!「頭の使い方」上達チェックリスト
最後に、5つのコツをチェックリストにまとめました。毎日の生活の中で、意識して使ってみてください。
- □ 誰かの意見を聞いた時、「本当にそうかな?」と一度考えてみた?
- □ 新しいことを学ぶ時、「なんでだろう?」と理由や背景を探ってみた?
- □ 大きな課題に直面した時、やるべきことを細かく分解してみた?
- □ 感情的になったり行き詰まったりした時、一歩引いて全体を眺めようとした?
- □ アイデアが必要な時、「もしも…」を使って自由に発想を広げてみた?
「頭の良さ」とは、生まれつきの才能や知識の量だけで決まるものではありません。それは、物事の考え方、向き合い方といった**「スキル」であり、トレーニングで誰でも鍛えることができます。**
そして、この力はテストの点を上げるためだけのものではありません。自分の考えを深め、周りの人の意見を尊重し、チームで問題を解決していく…そんな、より良い人間関係や社会を築くための大切な力になります。
まずは5つのコツのうち、一つでも意識して使ってみてください。きっと、昨日までとは違う景色が見えてくるはずです。